同級生-Memories-
部屋の中も綺麗にリフォームされていて、カウンターキッチンにリビングがあり、部屋も2部屋あって二人で生活するには十分な広さだった。

「収納も各部屋に付いてますし、いかがですか?」

予想以上に良い部屋で、ぐらついていた俺の気持ちは一気に決まってしまった。

家賃も二人で生活するなら妥当ではないだろうか。

立地条件を考えたら安い方だと思うし、景色も悪くない。

クミはなんていうだろうか。

彼女の両親は許してくれるだろうか。

不安ばかりが募るけど、俺はその場で部屋を即決し、いつも強気のクミはそれに対して大丈夫なのかと心配ばかりしていた。

不動産屋へ戻り、契約に必要な書類を聞いて仮契約をしてそのまま役所へ必要書類を取りに行くことに。

車の中でもやはり心配ばかりしているクミに、近くの公園へ車を寄せて少し歩くことにした。

「なあ、クミ」

「うん。ヤス、やっぱ一人でクラスに広くない?家賃だって安くないんだし」

どうしても納得できない感じのクミは、俺の顔を見て不安が隠せない様子で。

近くのベンチへ彼女を連れて行き、そっと座らせて俺も隣に座った。

「なあ、クミ。一緒に暮さないか?」

「え…?」

まるで予想外だったようで、俺の顔を見てかなり驚いていた。

俺は一緒に暮らすことばかり考えていたけど、クミにはそんな考えながなかったということか。
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