同級生-Memories-
玄関前で、鞄の奥にあるであろう鍵を探していると、誰かが階段を上ってくる声が聞こえて。

…クミの声?

さりげなく階段の方を見ると、クミが知らない男性に肩を抱かれたまま楽しそうに歩いてくるのが見えた。

一瞬状況が飲み込めずに茫然と二人を見ていると、男性と目が合って。

男性の顔色が明らかに変わったところで、彼の視線を追って俺を見たクミと目が合った。

「…ヤス、どうして…」

「どういうことだよ」

その瞬間、クミの肩にまわされていた腕がぱっと離れたけど。

今更そんなことしても、もう言いわけなど出来ない状態で。

お酒を飲んでいて酔っ払っている感じでもなく、誰が見ても恋人同士のような二人だった。

「仕事が早く切り上がったから帰宅したんだけど、お邪魔だったようだな」

「ヤス、違うの」

何がどう違うと言うのだろうか。

二人で仲よくここまで来て、今夜はどんな予定だったんだろうか。

ただ送ってもらっただけ?

それとも、俺の居ない二人の家で、その男と一緒に過ごす予定だった?

考えれば考えるほど怒りがこみ上げてくる。
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