同級生-Memories-
「ヤス、久しぶり」

聞いていたよりも沢山いるメンバーは、皆変わっていなくて。

5年でそれなりに老けたやつもいれば、いつの間にか結婚して子供がいる奴までいた。

30歳って、そんな年頃なんだ。

白いワンピースを着たクミが、恥ずかしそうに俺のそばへやってきた。

「元気そうだな」

離婚調停の時、特にもめることもなく淡々と手続きをしていた俺たちは、必要以上の会話をすること無く別れた。

それ以来の再開で、実際あの時の男とどうなったのかもわからないし、いつから付き合っていたのかもよくわからないままだった。

離婚の原因は、すべてがクミの浮気にあるとは今でも思っていなかったけど、クミは自分の浮気が原因だと思っているようだった。

仕事にのめり込みすぎてクミから気持ちが離れてしまったのは事実だし、彼女はそれが寂しかったんじゃないかと思う。

詳しく聞くこと無く別れたし、今更そんな事を聞いたところでどうにもならないので真実はわからないままだけど。

「ヤスも、変わってないね」

甘そうなお酒を片手に、くすくす笑っているクミは5年前よりもずっと大人っぽくなっていて。

ふと手元を見ると、左手の薬指には大きな指輪が輝いていた。

相手は、あの時の男なんだろうか。

「結婚、したのか?」
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