同級生-Memories-
昨夜の酒もまだ抜けきらないままに、冷蔵庫から缶ビールを取りだす。

つまみになりそうなものは何もなくて、仕方なく棚にあったスナック菓子を開けた。

休日の朝からやけ酒なんて、ろくなこと無いに決まってる。

何も考えずにプルタブを開け、ぐいっと喉に流しこんだ。

さっき飲んだコーヒーがまだ口に残っていて、まずい。

すごく、まずい。

「…はは」

結局、前を向いて歩いていたには、クミだけで。

いつまでも自分の気持ちを押し殺して、うじうじとしていたのは俺だけだったんだ。

そんな自分が情けなくて、気がつけば頬を涙が伝っていた。

「クミ…」

彼女との思い出のものは、一緒に生活していたアパートを引き払うときにすべて処分した。

二人で撮った写真も、一緒に買った家具も、すべて。

俺の手元に残っているクミの思い出は、もう何もないと思っていたのに。

携帯に残っていた、彼女の番号とアドレスはあの頃と変わらないままだったなんて。

我ながら、情けなさすぎる。
< 31 / 85 >

この作品をシェア

pagetop