同級生-Memories-
予定よりもずいぶんと遅くなってから帰宅すると、アパートの駐車場に彼の車があって。

慌てて部屋へ帰ると、テレビを見ながら彼がソファに座ってたばこを吸っていた。

「おかえり、クミ」

「ただいま。来るなら連絡くれたらよかったのに」

手を洗ってから彼の横に座ると、ごく自然に私の肩に手をまわして私を引き寄せてから、おでこにキスをしてくれた。

「サトミちゃんと楽しんでいる所だと申し訳ないからね」

少し前に着いたばかりだよ、なんていうけど、キッチンを見ると鍋にシチューが作ってあった。

「少し前?」

くすくす笑いながら彼の腕をすり抜け、キッチンへ向かう。

会社近くにあるおいしいベーカリーのパンもあって、シチューを温め直しながらサラダを用意した。

「ジュンペイさんが料理上手で助かっちゃうね」

「仕事つづけるんだろ?家事は分担でやればいいよ」

仕事…ねぇ…。

正直、結婚したら仕事はやめたいと思っていた。

仕事そのものは嫌いじゃないし、それなりに責任もあってやりがいだってある。

でも、最初の結婚で失敗している私は、忙しい二人のすれ違いに耐える自信がなかった。

また、どこかで寂しさを紛らわす何かに逃げてしまいそうな自分が怖い。

「さあ、食べましょ!」

そんな気持ちをどうしてもうまく伝えることが出来ないまま、結婚の話はどんどん進んでいた。
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