同級生-Memories-
結婚式が近付き、会社への報告も無事に終わってアパートを引き払う日が来た。

彼のマンションへ自分の荷物を運びこみながら、本当にこれでいいのかという気持ちが捨てきれないでいる自分に気がついた。

今更だけど、彼と結婚することにまだどこか納得できていない自分に。

彼のことは…好きだと思う。

入社してからずっと私のことが好きだったと告白されたあの日から、気にならなかったと言えばうそになる。

でも、そのころは私の頭の中はヤスでいっぱいで、他の男の人とか考えたことはなかったのに。

お互い忙しくてすれ違いばかりになっていたとき、誰よりも私にやさしかったのはジュンペイさんだった。

上司としてではなく、一人の男としていつも私を見ていた彼に、甘えてしまったのが私だったんだ。

そんな弱い私の心を知っていてもなお、私を受け入れてくれたジュンペイさん。

いまだに私は、そんな優しい彼に甘えているだけじゃないだろうか。

彼のご両親はとても優しい人で、彼の人柄がご両親譲りなのがよくわかる、とても素敵な人たち。

私の両親も、彼のことを気に入ってくれているし、2回目の結婚である私をもらってくれるということでとても喜んでくれた。

「クミ、これはどこに?」

「あ、寝室のクローゼットにお願いします」

業者によって運び込まれた段ボールを二人で片付けていく。

一人暮らしで使っていた家電は、ほとんど処分してしまった。
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