同級生-Memories-
残念だけど、楽しんでおいで。

仕事なのか、書類片手にパソコンに向かっていたジュンペイさんは、やさしい笑顔で私を見ながらそう言ってくれて。

「じゃあ、お言葉に甘えて…」

ソファに座っていた彼の横に座って、幹事に一人で参加する旨を伝えた。

「出張だったの?」

「ああ、今さっき会社のメールをチェックしていて決まったことだよ」

私と違って仕事の忙しいジュンペイさんは、結婚してからもこうして一緒に過ごせない日が多くあるのかもしれない。

彼曰く、だからこそ少しでも一緒にいられるように早く一緒に住みたかったらしいんだけど。

そんなすれ違いが原因で失敗している私にとっては、とても複雑な思いだった。

でも、彼と一緒になることを決めたんだから。

決めたことは、私の意志なんだから。

「急なんだね。寂しいけど、お仕事がんばって」

メールを打ち終わった携帯を机の上に置くと、同じように手にしていた書類を机の上に置いたジュンペイさんが私の肩に腕をまわしてそっと抱き寄せてくれた。

「日帰りの予定だけど、遅くなると思うから」

そっと私の額にキスをして、両手で私を包み込むようにしてくれる。

温かい…。

私も自分の両手を彼の背中にまわしてぎゅっと抱きつくと、そのままベッドに押し倒されてしまった。
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