同級生-Memories-
「んー。ゆっくりしたいなぁ」

昨夜のもやもやした自分の心をうまく表現できなくて、何も考えたくない。

こんな気分の日は、何を見ても、何を聞いても感動できないから。

楽しい気分になるのはとても難しいから。

「じゃあ、花でも買いに行こうか。引っ越し祝いに」

「…ふふ。引っ越し祝い?」

そんな私のことを理解してくれている彼は、私にはもったいない。

シャワーを浴びてしっかりと目を覚まし、身支度を整え終わったころには、ジュンペイさんが洗濯を干し終わっていた。

「あ、ごめんね。ありがとう」

私の下着まで綺麗に干してくれている彼は、何でも器用で。

洗濯くらいは私がやりたかったかも…なんて思ってしまう。

一人暮らしが長いこともあり、料理もそれなりに出来るし嫌いじゃないみたいだし。

私だって、それなりに家事全般やれるけど、料理の腕前も掃除も、彼の方が上手かも知れない。

実際、料理は彼の方が手際がいいことはわかっているし…。

「いいよ。手が空いている方がやればいい」

当たり前のように何でもこなす彼を素敵だと思う。

でも、完璧すぎて私があせってしまう。

彼に手を取られるようにして二人で家を出て、歩いて近くにある花屋さんへと向かう。

いくつか鉢植えを見て、店員さんに手入れの仕方などを教わって持ち帰ってきた。
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