同級生-Memories-
大学を卒業してヤスと一緒に暮らし始めたころ、こんな気持ちで帰りを待っていた。

早く帰ってこないかな、って。

「…よし!」

あの頃はすべてがいっぱいいっぱいで余裕がなかったけど、今は違う。

若かったあの頃と違って、それなりに年齢を重ねて来たんだ。

待っているだけじゃだめなんだ。

冷蔵庫を開けて、明日の夕飯の下準備を始めた。

明日のメニューは決まっているから、準備できるものは今のうちにしておけば明日が楽だし。

キッチンに立って明日の準備が終わりかけたころ、ジュンペイさんから電話があり、今から帰るとのこと。

思ったよりも早い帰りに嬉しくなって、慌ててキッチンを綺麗に片づけて今日の夕飯を温めなおした。

ただぼーっと待っているんじゃなくて、やれることをやろう。

私の方が帰りが早いことが多いから、何か習いごとを初めてもいいかもしれない。

家で帰りを待っていると、どうもふさぎこんでしまうから。

誰かに頼ってしまう自分の弱さを、どうにか克服したい。

ジュンペイさんと結婚すると決めてから、ずっと心のどこかで思っていたこと。

ヤスへの寂しさから、ジュンペイさんの優しさに甘えてしまった自分。

もう二度とあんなことにならないためにも、強くなりたいから。
< 60 / 85 >

この作品をシェア

pagetop