同級生－Memories－
窓際の席に座ったヤスを確認して、深呼吸してから彼の近くへと行く。

「ヤス、久しぶり」

どう声をかけていいのか迷ったけど、普通にしようと心に決めて声をかけた。

5年ぶりに会う私は、ヤスの目にはどう映っているのだろうか。

ねえ、彼女は出来た？なんて私が聞くのは間違っているのかな。

「元気そうだな」

少しだけ目を細めてそう言うヤスは、やっぱりあの頃と変わっていなかった。

「ヤスも、変わってないね」

近くにあったカクテルを持って、緊張のために乾いたのどを潤す。

お酒が入っているはずなのに、そんな事を感じないくらい私は緊張している。

「結婚、したのか？」

私の手元を見てそう言ったヤスは、やはり今日が私の結婚祝いだと言うことを知らなかったんだと確信した。

ジュンペイさんからもらった指輪をヤスに見せるのはなんだか恥ずかしくて。

もうすぐ結婚するけどまだ籍は入れていないとか、ちゃんと説明した方がいいのかわからず、なんとなく笑ってごまかした。

あまりにもヤスが私の手元ばかりを見ているのでどうしたらいいのかわからなくて、右手でそっと指輪を隠した。

「ふふ。綺麗でしょ？」

きっといま、私の顔は赤い。
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