同級生-Memories-
34歳になる俺から見て、20歳の女の子なんて、犯罪じゃないか。

「ハタチですよ、ハタチ。もう大人なんだから犯罪ではないですよ」

まるで俺の心の気持ちを読んだかのような言葉に、口を付けていたビールを吹き出してしまった。

「ははは。どの子も話しやすい子でしたよ」

まだ新入社員が入社してからそんなに日は経っていないはずなのに、部署も違う新人の女の子ともうすでに会話をしているという後輩に、びっくりしてしまった。

俺なんて、名前どころか姿すら食堂くらいでしか見たこと無いのに。

「同じ部署のさっちゃんなんてどうですか?真面目そうでしっかりしていそうでしたよ」

「さっちゃんて…」

誰、とはさすがに言えなかった。

同じ部署に配属された新入社員の一人で、俺の席からも毎日その姿を確認出来ていたから。

3人入社してきた女の子の中で、唯一俺が顔と名前を知っている子でもあった。

「そう、さっちゃん。3人とも可愛いけど、一人だけ純情そうって言うか、遊んでなさそうですよね」

「まあ…そうなのか?」

他の子がよくわからないけど、確かにいまどきのギャルっぽいわけでもなく、軽い感じにも見えない。

「ほら、気になってきたでしょ?今度コンパでもやりますかね?」

「あのなぁ。コンパって…一回り以上も上のおじさんなんて相手にされないだろ」

「おじさんって言わないでくださいよ!俺はまだまだ若いですよ」
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