同級生-Memories-
案外、大人の魅力で若い子を虜に出来るんじゃないですか?なんてビールを片手に笑っている後輩の言葉に、同じフロアで必死になって仕事を覚えようとしている彼女の笑顔を思い出させていた。

終電ぎりぎりの時間まで飲み明かし、すっかり出来上がった俺たちは電車に乗ることをあきらめてタクシーでそれぞれ帰宅。

スーツのままベッドで寝てしまった俺は、翌日昼ごろにかかってきた後輩からの電話でやっと目が覚めた。

「すげー怒られました」

「はは。ああ、悪かったな。次はもうすこし大人しく飲もう」

電話の向こうで子供の元気な笑い声が聞こえている。

子供のいる生活って、どんな感じなんだろうか。

電話を切ってからスーツを脱ぎ棄ててシャワーを浴びた。

クリーニングへ持っていかないとだめだなぁ。

洗たく機に一週間分の洗濯ものを詰め込み、財布とスーツを持って近所のクリーニング店へ。

帰りにコンビニへ寄ってお昼ご飯を買い、帰宅してから洗濯ものを干した。

いい天気だなぁ。

外を眺めながら一人で食べる昼食には、すっかり慣れてしまったけど。

後輩のことを思い出し、今頃にぎやかに家族で昼食を食べているのだろうか、なんて想像して少しだめ寂しく思ってしまった。
< 73 / 85 >

この作品をシェア

pagetop