同級生－Memories－
俺の席から顔を上げると見える彼女の席。

仕事に詰まってぼーっとしていると、無意識のうちに視線は彼女へ。

わからないことがあると、唇をとがらせながら鉛筆をくるくる回す彼女。

何でも人に聞くのではなく、自分で必死に考えてから質問に行く彼女。

誰かに声をかけられたら、いやな顔をせずに笑顔で受け答えしている彼女。

休み時間になると、皆が動き出したのを確認してからゆっくり食堂へ向かう彼女。

まるでストーカー？と自分でも呆れてしまうくらい、気がつくと彼女を目で追っていた。

「新人歓迎会？」

「そそ。先輩は出席でしょ」

「まあ、断る理由もないけど…」

「佐智子ちゃん、出席に丸ってなってますよ」

後輩が声をひそめて彼女の名前のところをさしてくる。

「…おい」

「はは。先輩わかりやすいから」

俺に睨まれたことなんて気にもせずに自分の名前と俺の名前の横に出席の丸を書いた。
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表紙・目次

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