同級生-Memories-
*佐智子*

最近気になる視線。

仕事に集中しているときに限って、それはよく感じていた。

思い切って振り向いて、誰からの視線なのかを確認したいけど。

社会人になったばかりの私には、仕事中に仕事以外のことで集中力をなくすんじゃないかって毎日ドキドキして確認できない。

誰かが私を見てる?

そうか、私がまだまだ頼りないから心配で気にしてくれているのかも。

私の席よりも後ろにいる誰かが、こちらを毎日見ているのは確かで。

最初は気のせいで、私を見ているんじゃないって思っていたけど、最近は私以外に周りに誰もいなくても視線を感じるから、たぶん私を見ているんだ。

「できた、っと」

与えられた仕事をただこなすだけの毎日だけど、新しいことばかりの毎日でもあるから飽きることはない。

大変って思うこともあるけど、覚えだすと楽しくて、毎日があっという間に過ぎていた。

同期の女の子たちとも気があって、お昼休みなんて1日の中でもかなり楽しみな時間になりつつある。

この会社に入社で来てよかった、ってまだ入社して1カ月もたっていないけど、そう思える職場だった。

「飛田さん、これできました」

「ああ、早かったね」

ときどき私に作業を与えてくれる、飛田さん。

同じ部署で、唯一の独身。
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