同級生-Memories-
「楽しみだよねぇ。3泊だよ。バイトしてよかった!あ、飛田君車出せる?」

「ちょ、まって。俺参加するって言ってないけど」

完全に俺は参加とカウントされているような雰囲気に、慌ててしまう。

ボードは好きだけど、正直まだそんな気分にはなれない。

「え?だめだめ。いつまでもふさぎこんでても仕方ないし!女の子もたくさん参加するよ」

ね?と俺の顔を覗き込んできた岡島は、俺のさらに残っていたプチトマトをぱくっと食べてしまった。

やっぱり、気を使ってくれていたんだ。

明るくてじめっとしたことが嫌いそうな岡島らしく、普通に話しかけてくれたのは、俺を元気にするため。

こんな風に気を使ってくれる友人が自分にも居たんだと思うと、少しだけ目頭が熱くなってしまった。

「…スタッドレスタイヤ、買うかなぁ」

「ふふ。決定ね!今日の帰りにサークルにかおだすんだよ!」

最後に俺の頭をくしゃくしゃっと撫でまわしてからあわただしく学食を出て行った。

夏までやっていたバイトは止めてしまったけど、車を買うのに使ったくらいで多少は残っている。

明日からでも早速アルバイトを探そう。

気を使ってくれた岡島のためにも、なにより自分自身のためにもこのままじゃだめなんだ。

午後からの講義も午前とは違って集中でき、久々にちゃんと勉強をした気がした。
< 8 / 85 >

この作品をシェア

pagetop