同級生-Memories-
仕事中に見せる笑顔とはまた違う、楽しそうな笑顔にドキドキしてしまう。

「俺も彼女、居ないんだよね」

持っていたビールをグイっと飲んで、勢いでそんな事を口にしてしまった。

そんな事言うつもり無かったのに。

「えー。そうなんですかぁ?」

聞いてくれているようだけど、あまり興味のなさそうな彼女。

仕方ないよなと思いながらも、自分の携帯を取り出してメッセージを打ち、彼女の前に差し出す。

恥ずかしくて、口に出して言えない一言。

「え?」

え、え?と何度も口にしながら俺の携帯画面を食い入るようにして見ている彼女。

『二次会参加せずに抜け出さない?』

いきなりすぎるか?とも思ったけど、他にどう誘ったらいいのかわからず。

二人だけで、話がしてみたい。

彼女が俺のことをどう思っているのかわからないけど、ここでは周りが気になってなかなかゆっくり話もできないし。

断られたら…まあ、それも仕方がない。

何とか彼女のアドレスを聞き出し、俺の番号も伝えた。

これで、彼女とのつながりが出来たかと思うと、嬉しくて自然に顔がゆるんでしまう。

これから彼女に俺のことをたくさん知ってほしい。

俺も、彼女のことをたくさん知りたい。

年が離れているけど、俺は彼女のことが好きなんだ。

後輩のそばへ行くと「やりましたね」と俺の肩をぐいっとつかんで笑って。

「これからだよ」

新しく注いだビールをぐいっと飲み込み、彼女の方を見ると、女の子たちと楽しそうに話をしていて。

「そう、これからだから」

独り言をつぶやいてから皆の中に入って行った。



→end
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