脱!? レンタルな関係。+for happy X'mas!+
皮張りの黒いソファに、
お父さんらしき人の後ろ姿が見える。
私たちが入ってきても、振り向かない。
やっぱり……、
オネエマンのこと、直視できないってことなんだろうな……。
ソファの横のスツールには香穂ちゃんが座ってる。
「どうぞ座ってください」
うなずいた流川にならって、私たちも腰を下ろした。
正面に座っているお父さんは、
(う、うわぁ……留美そっくり)
留美のすっぴんに少しシワを入れたような顔立ちで。
体格も留美とそっくり。
腕を組んで、じっと目を閉じている。
「……」
「……」
オネエマンもお父さんも無言で。
お母さんが紅茶をいれて運んできてくれるまで、
私たちの周りには、ピンと張りつめた空気が漂っていた。