脱!? レンタルな関係。+for happy X'mas!+

皮張りの黒いソファに、


お父さんらしき人の後ろ姿が見える。



私たちが入ってきても、振り向かない。


やっぱり……、


オネエマンのこと、直視できないってことなんだろうな……。



ソファの横のスツールには香穂ちゃんが座ってる。



「どうぞ座ってください」



うなずいた流川にならって、私たちも腰を下ろした。



正面に座っているお父さんは、



(う、うわぁ……留美そっくり)



留美のすっぴんに少しシワを入れたような顔立ちで。


体格も留美とそっくり。


腕を組んで、じっと目を閉じている。



「……」


「……」



オネエマンもお父さんも無言で。



お母さんが紅茶をいれて運んできてくれるまで、


私たちの周りには、ピンと張りつめた空気が漂っていた。


< 103 / 404 >

この作品をシェア

pagetop