脱!? レンタルな関係。+for happy X'mas!+
要くんと取り残された部屋の中は、
私が知っている夏の日までの雰囲気とは少し違っていた。
まず、においが違う。
香水かな? 芳香剤かな?
私が覚えている香りと違う。
見慣れないCD、壁の写真。
今頃気づいたけど、テーブルの上の2つのカップは、おそろいだ。
……ちゃんと、時間は流れているんだ。
「要くん……ごめんね」
「ん?」
「……来ちゃって」
たぶん私は、誰かに……優しくしてくれるはずの人に甘えたかったんだろうと思う。
また……要くんに迷惑かけちゃった。
「ごめんなさい」
「オレは別にいいけどさ。マナミがな」
「うん……」
「でもほら、アイツああいう感じだから。なんか、さっぱりしてるっていうかさ」
「うん。なんか分かる」
「強がりで、気ぃ使い屋でもあるんだけど」
「うん……」
要くんの優しい表情。
ああ、うまくいってるんだな、マナミさんと。
そう思ったら、胸の奥がきゅっとなったけど。
……でも、良かった。
「アイツ言いだすときかないから。ちょっと付き合ってやって」
「うん」
ははっと笑うと。
「唯衣?」
「うん?」
「頑張れよ」
要くんがほほ笑んで。
「大丈夫だって。流川、マナミに殴られても唯衣のこと守ったんだから」
「ふふ。そういえばそんなこともあったね」
「負けんなよ」
「……ありがと」
要くんの笑顔に、私はうんとうなずいた。