脱!? レンタルな関係。+for happy X'mas!+
*近くにいるのに
☆*:・°★*:・°
★*:・°
「待って! 流川っ」
黒いコートの背中がどんどん遠くなる。
叫ぶ声は、届く前に冬の風にかき消されてしまって。
「流川っ……」
伸ばした腕を、誰かがつかむ。
ゆっくり目を開けると部屋の天井が見えて、
つかまれた腕の先に、流川の顔が映った。
「どうしたんだよ、大声出して」
不安げな面持ちで私の顔を見下ろしている。
「あれ?」
私……、要くんの部屋にいたはずじゃ……。
「ベッド?」
重い頭を動かして辺りを見渡してみると、
どうやらここは流川の部屋で、
私はベッドに寝かされているらしかった。
「電話が来たんだよ、要から。それでオレが迎えに行ったんだ」
「そう……だったんだ」
「なんの夢見てたんだ?」
「……え?」
「待って、て」
「あ……」
「居るだろ、オレはここに」
流川の指が伸びてきて、私の目元をそっとぬぐった。