脱!? レンタルな関係。+for happy X'mas!+
『海越えちゃうと通話料高いし、手短に話すね』
「海? 通話料?」
ますます意味がわからない。
『あなたからも言ってもらえないかな。直人くんにこっちに来てもらえるように』
「こっち? え? どっち?」
『ぷ。面白い子なのね。あ、ごめんね』
「……いえ」
『直人くん、なかなか決心がつかないみたいでね。海外行き』
「決心? ……海外?」
『この前電話したんだけど、直人くん、何か忙しそうで。
手があいたらかけ直してもらえるように私の番号を教えておいたんだけどね』
ああ、それで。
流川の筆跡のメモ用紙があったわけだ。
『雅人(マサト)さんも忙しくて。2人で話す時間がないみたいなの。そもそもこの話のせいでケンカしちゃったみたいなんだけどね』
「雅人さん? ケンカ?」
えっと。
この場合……。
「雅人さん=理恵子さんの彼氏=流川のお兄ちゃんで、2人はケンカしてるってことでいいんでしょうか?」
『あ、ごめんね。私も手短に話そうと思ってちょっと混乱中なんだけど』
いや、私が混乱中だから。
「えっと……」
『とにかくね、直人くんを説得してほしいの』
「説得?」
『彼女さんの言うことならきっと聞くと思うから』
「は、はあ……」
『家族なんだもん、ケンカしたままなんて寂しいし』
「……」
『お父さんとお母さんもいることだし』
「……」
『直人くんもこっちに来るべきだと思うの』
……これって……。
「もしかして……。
家族全員が海外にいるから……、流川もそうしろってことですか?」
『やだっ。さっきからそう言ってると思ったんだけど言えてなかった? ごめんなさい。よく話が見えないって言われるの、私』
「海外……」
『来ればきっと、仲直りできるはずだから。お父さんとお母さんもそれを望んでるはずだから……』
「……」
『お願いします』
そう言った理恵子さんは、電話を切った。