脱!? レンタルな関係。+for happy X'mas!+

「唯衣? なに? 何の話?」



子機を握りしめてぼう然としている私の顔を、麻紀がのぞき込んだ。



「流川も海外に来いとかって聞こえたけど? 何の話だったの?」


「……」


「唯衣?」


「よく……分かんないけど」


「ん?」


「お兄ちゃんもお父さんもお母さんも海外にいるから、流川もこっちに来るべきだって」


「来るべきって……。え? 何? 海外? 流川直人が?」


「うん」


「まさか引っ越して来いってこと?」


「……」



内容からすると、たぶん、そう。


でも、頭の中が混乱してるからイマイチぴんと来ない。


てか、分かんない。



「なにそれ。唯衣、アンタ流川直人からそういう話聞いてたの?」


「ううん。何にも聞いてない」


「聞いてないって。これってさ、結構……、いや、かなり重要な話じゃないの?」



腕を組んだ麻紀は、渋い顔をした。



「で、何だって? 理恵子さん」


「私に流川を説得してほしいんだって」


「説得? 何を?」


「海外に行くように。流川が決心つくように? 彼女なら聞いてるよねって」


「てか、聞いてなかったんだよね?」


「うん……」


「なのに説得もするもなにも……、っていうかさ、」



腕を下ろした麻紀。一呼吸おいてから言葉をつなげた。



「アンタと流川直人、離れ離れになっちゃうってこと?」


「……え?」



顔を上げた私。



「離れ離れ?」


「だってそうでしょ? 流川直人が引っ越しなんてことになったら……、しかも国内じゃないんでしょ? 海外でしょ?」


「……」


「そうそう会えなくなる……っていうか、いつ会えるかも分かんないじゃん」


「え……」



会えなく、なる?


< 216 / 404 >

この作品をシェア

pagetop