脱!? レンタルな関係。+for happy X'mas!+
「唯衣? なに? 何の話?」
子機を握りしめてぼう然としている私の顔を、麻紀がのぞき込んだ。
「流川も海外に来いとかって聞こえたけど? 何の話だったの?」
「……」
「唯衣?」
「よく……分かんないけど」
「ん?」
「お兄ちゃんもお父さんもお母さんも海外にいるから、流川もこっちに来るべきだって」
「来るべきって……。え? 何? 海外? 流川直人が?」
「うん」
「まさか引っ越して来いってこと?」
「……」
内容からすると、たぶん、そう。
でも、頭の中が混乱してるからイマイチぴんと来ない。
てか、分かんない。
「なにそれ。唯衣、アンタ流川直人からそういう話聞いてたの?」
「ううん。何にも聞いてない」
「聞いてないって。これってさ、結構……、いや、かなり重要な話じゃないの?」
腕を組んだ麻紀は、渋い顔をした。
「で、何だって? 理恵子さん」
「私に流川を説得してほしいんだって」
「説得? 何を?」
「海外に行くように。流川が決心つくように? 彼女なら聞いてるよねって」
「てか、聞いてなかったんだよね?」
「うん……」
「なのに説得もするもなにも……、っていうかさ、」
腕を下ろした麻紀。一呼吸おいてから言葉をつなげた。
「アンタと流川直人、離れ離れになっちゃうってこと?」
「……え?」
顔を上げた私。
「離れ離れ?」
「だってそうでしょ? 流川直人が引っ越しなんてことになったら……、しかも国内じゃないんでしょ? 海外でしょ?」
「……」
「そうそう会えなくなる……っていうか、いつ会えるかも分かんないじゃん」
「え……」
会えなく、なる?