脱!? レンタルな関係。+for happy X'mas!+
「ああ~、腕が痛い~」
フライパンの振り過ぎで、若干筋肉痛。
「もぉ……。早く流川と話したいのに」
7人が集まったリビングは、時間が経つにつれて……もうメチャクチャで。
クリスマスパーティっていうより、忘年会のノリ。
これじゃ、いつお開きになるか分からないや……。
「ちんちくりん、酒が切れたわ。持ってきて」
「流川く~ん、また一緒に温泉に行こうよ~」
「え?! 流川さんと温泉? オレも行きたいですっ!」
「ちょっと光太。アンタさ、完全に流川直人に惚れたでしょ? やっぱり変態だわアンタ」
「おい、ベタベタ触るな。オレにそっちの気はねーぞ」
次々に飛び交う言葉を目で追いながらキッチンに立っていた私に、
「唯衣さん」
立ち上がった香穂ちゃんが話しかけてきた。
「は、はい? なんでしょ」
うっ。
今度は何を言われるんだろう。
また……宣戦布告されたらどうしよう……。
身構えた私に、ふふっと笑った香穂ちゃんは。
「謝りますね、このあいだのこととか、まあイロイロ」
「イロイロ?」
「お兄ちゃんに怒られたんです。お兄ちゃんって呼ぶことも怒られるんですけど。お姉ちゃんって呼びなさいとかって。あ、それは別にどうでもいいか。
とにかく謝ります。ごめんなさい。ちょっとやり過ぎましたね、あたし」
「香穂ちゃん……」
「でも前に言ったことはホントですよ? ちょっとでも2人に隙ができたら入り込みますから」
「ううう……」
「でも流川さん、本気で唯衣さんのこと大切にしてるみたいだから、今はムリっぽいですけど。まあ、イロイロ謝ります。とりあえず」
「はあ……」
ぺこっと首を折った香穂ちゃんは、
「あたしも手伝いますから、唯衣さんも早く混ざって楽しみましょ?」
慣れない手つきで、サラダに添えるゆで卵を切り始めた。