脱!? レンタルな関係。+for happy X'mas!+
「忘れ物はねーな?」
「うん、とりあえず今夜のところはこれで大丈夫だと思う」
4つのバッグの中身を確認してからうなずくと、
「何か足りなくねーか?」
首をかしげる流川。
そう言われると、そんな気もする。
なんだっけ? すごくでっかいモノを忘れてる気がするんだけど。
流川は周りを見渡している。
私もドールハウスアパートを眺めた。
えっと、パンツは回収したし、教科書も全部集めたし、向かいの家に乗っかっている布団は私のじゃないし……。
「たぶん、これで全部だと……」
言いかけると、ビュウッと強い突風が吹いた。
ううう……寒っ。
「これで全部。大丈夫だよ」
流川に風邪でもひかれたら大変。
責任とってくれるんだろうな、なんて、またイヂメられるし。
見上げる流川はじっと前を向いて何かに目を凝らしている。
「流川? どーしたの?」
「忘れてるだろ、あれ」
「え?」
流川が指さす方向に視線をやると、
「あ」
イチョウの木の枝に、
べろ~んと伸びたカエルがぶら下がっていた。