脱!? レンタルな関係。+for happy X'mas!+
「オネエマン、想像していたよりも相当な迫力ね」
キッチンに立って追加のサラダを作っていた私に、
トイレに行った帰りの麻紀が話しかけてきた。
「でしょ?」
「さすがの流川直人も、あのカラダで覆いかぶさってこられたら負けるわね」
「や、やめて。そういうこと言うの」
「あとさ、あの子、オネエマンの妹? あの子も要チェックね」
「……え?」
腕を組んでテーブルを眺めている麻紀は何かを感じ取った様子。
「私がここに来た時から、ず~っと流川直人の隣をキープしてるもんね」
「……分かる?」
「なんだ、アンタも気づいてたの?」
「うん、なんとなく」
流川が帰ってきた時の嬉しそうな顔も見ているし、
流川の左隣をずっとキープしてるのも知ってる。
「おとなしそうに見えて違うかもよ? なんたってオネエマンの妹だし」
「ま、まだ分かんないよ。それに流川は……」
“心配する必要なんてねーんだよ”
そう言ってくれてるし。
大丈夫大丈夫。
なんにも心配することない。
なんて自分に言い聞かせてみても……。
ビールを注いであげたり、サラダをとりわけてやったり。
カエルのことも気にいったのか、
長い手足を動かしてやりながら、ニコニコと流川を見上げている楽しそうな顔。
それを優しく見てやってる流川。
そんな様子を見ていると、やっぱりもやもやとヤキモチ心がわいてくる。
「むうぅ……」
頬を膨らませて眺めていたら、一瞬だけ合った香穂ちゃんの目が挑発的にも見えた。
……考え過ぎ?
オネエマンはオネエマンで、
何とかして流川の隣に割って入ろうとしてるんだけど、
さすがに妹さんには言えないのか、
右隣にいる私の腕を引っ張り上げて立ち退かせようとするし……。
流川に怒られてたけど。
まるで、流川争奪戦。
ピリピリ、じわじわ。