Secret×Honey



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「あー…くそつまんねぇ」

「喋ってないで手を動かしてよっ」




美海と音弥の姿が真正面に見えるとは……あまりにも皮肉すぎて笑える。

全くやる気ゼロの俺の隣には、鼻歌なんか歌いながら楽しそうに作業をする希咲。


どいつもこいつも……。





「せーいーや」

「あ?」


軽く睨みつけると希咲は少し微笑んだ後、再び作業に取り掛かる。

なんかむしゃくしゃする。




「…そんなに美海が気になる?」

「……え」



希咲は一瞬悲しげに笑って、俺の反応に顔を上げた。

なんでだ?
希咲の瞳が俺の心を見透かすようで、なんか苦しい。




「あっ…なんでもない」


俺の視線に気付いたのか、さっきのように小さく微笑んだ。

なぜかさっきから、いまいち作業が進まない。




美海に顔を近付ける音弥と少し悲しげに笑った希咲の映像が、壊れたビデオテープのように何度も何度も繰り返し再生される。

その度に痛む胸は、一体何を意味するのかもわからない。



俺の心。
大雨洪水警報。















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