たとえばそれが始まりだったとして
もうひとつ、彼に関して耳に入ったこと、それはどんなに美人な女子からの告白も受けたことはないというもの。俺も実際聞いた、断る際の常套句らしい好きな子がいる発言は、知られているわりにあまり信じられてはいないようだった。現場をこの目で見てしまった人間としては疑いようがないのだけど。
そんな風評だけで作り上げられた彼の人物像。二年にあがり同じ教室で過ごしていると、あながち間違いじゃないとわかった。
そして俺は知ることになる。彼の想いと、彼が想う女の子の存在を。