たとえばそれが始まりだったとして
二週間とちょっと。それは今までの人生に比べたら、露ほどにも満たない短い時間。だけど、すごく満たされた時間だった。こんなにも緊張し気分が高揚したのは、楽しいと幸せだと感じたのは、サッカーの試合で初めてシュートを決めた時以来なのだ。
彼女の隣は居心地が良かった。
俺の隣を歩き俺に笑いかけてくれる、願わくばこれから先もそうであってほしい。一緒にいれば、望みは絶えない。初めは、朝一緒に登校できればと思う程度で。それがいざ彼女と過ごしてみれば、もっと一緒にいたいと思ってしまう有り様で。お昼を誘おうとしたこともあったが、拒絶されたらと思うと言葉にならず、ずっと胸にしまってきた。今日だって、誘えないくせに彼女の様子が気になるからと理由をつくって約束もなしに会いに行って。行ってしまえば断れないだろうと卑怯な打算をした。
でも、それじゃあ駄目なんだ。
本当に彼女が欲しいなら。
彼女の良心に甘え、居心地が良いからと中途半端な関係を引きずっていては何も変わらない。
眞鍋が彼女と接触していると知って、俺は何を思った?
焦燥感も醜い嫉妬も、今の俺に抱く資格はない。
ハイリスクハイリターン。
想えば想うほど、覚悟は必要になる。
俺は決めなければならない。
彼女の気持ちと向き合う覚悟を。