問題アリ(オカルトファンタジー)





牢屋のように鉄格子が嵌められていたが、端の一つが折れていて、そこから進入することが出来た。


先ほどと同じように何もなかったかのようにズラした格子の鉄を綺麗にはめ込んで、まだ伸びる階段を辿って最上階へと向かう。


階段を上がったそこには玄関のような石畳があり、小さな段差を置いて木板の嵌められた部屋があった。


テーブルと椅子と水回り。そこに辿りついた瞬間、ノエルは力尽きてその場に倒れ、幾度かの咳の後、血を吐いた。


途端、ギィ、と床板を踏む音が聞こえてビクッと肩を震わせそちらへと目を向けた。血は口の端から垂れて口内は鉄臭い。


目を向けたそこには小さく少し肉の付いた老婆が遠くからノエルをジッと見ていた。暫くの沈黙。その間にも酷い咳は進む。


ふと身体を折って咳き込んでいたノエルにシワシワの手が、伸びてくる。


頬に触れかけてノエルはその手を払い除けて逃げるようにうつ伏せのまま這おうとしたが、もうそんな力など残っては居ない。


床に爪を立てて、逃げようともがくのに、そうはさせてくれない高熱と、吐血と、咳。


ふと、ノエルに暖かいものが触れた。


霞む視界の中に見えたのは老婆がノエルを抱きしめていたのだろう、やけに近い皺くちゃの、顔。


ノエルが16歳の、時。







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