問題アリ(オカルトファンタジー)
くわぁ、と大きな口を開けて欠伸を漏らして、外へ出てもやはり暇なことには変わらず、フィンは肩を落とす。
森は太陽の強い光によって、微かな光をその身体中を覆う緑で反射させていた。
緑が深く、足元には微かに色づいた花々が視界を楽しませてはいたが、そんなもので喜ぶのはごく一部の人間である。
少なくとも死神はそんなものに「綺麗」だの「可愛い」だのという興味を示さない。
グシャ。
可憐な花も踏み潰していく、石と同じような認識でしかなかった。
むしろ、石を愛でないくせに何故草花を愛でるのかわからないらしい。どちらも同じく地面に転がっているではないか。
人間の一貫性のない愛と言うものは理解に苦しむ。
そういうと無慈悲だと言う人間も居るだろうが、少なくとも本人は自分が無慈悲だとは思っていない。
死神になる人間、なった人間の中には良心の異常な欠如や罪悪感が全く無いなどのサイコパスじみた人間が多い。
とは言いながらも、生きている人間は誰しもサイコパス予備軍であるとこの手の人間は思い込んではいるが。
ふと。
風の中に何かが混じっていたのに気づいた。