問題アリ(オカルトファンタジー)
「なぁラルフ、約束は守るべきものだと思うよな?」
「え、う…うん」
突然違う話を振られたラルフは一瞬、戸惑いを返しながらも、フィンの質問に瞬きを一つして、返した。
砂が入っているらしく、眼球が石粒に削られてガリ、という小さな音が聞こえる。
「じゃあ、エドガーのところに行って、約束を果たさなきゃ男じゃねぇよな?行こう!」
「え、でも……」
「救いの手を差し伸べてやるよ。……行きたいだろう?」
酷く優しい笑顔を浮かべてフィンはラルフにその白く細い手を差し伸べた。
土の湿気により微かに湿って汚れたラルフの冷たい手が、少し迷ってからおずおずと伸ばされ、フィンの手に触れる。
その手を掴んで、エレンにするかのように抱き上げながら一旦、教会へと戻った。
エドガーの居場所がわからないのである。
戻りながらフィンはエドガーの家を調べる方法を唸りながら考えていた。
手早く確実なのはエレンにラルフの匂いを嗅がせて、エドガーの家を調べる方法。
だがしかしエレンは拗ねて懺悔室に篭っているので、聞いてくれるかは謎だ。
その他の方法はラルフの記憶を頼りに探すくらいしか思いつかない。数年ならばまだ残留思念が残っているのだが、流石に十年は辿れない。
「頼み込むしかないかぁ」
太陽はすでに木々の中をくぐって隠れてしまっている。
あと数十分もすれば真っ暗闇になることだろう。
フィンは教会に戻ってくると、指を鳴らして蝋燭をつけながら、懺悔室へと足を進めてそのドアの前でいくつかノックをして腰低く、中のエレンへと声をかけた。
「あのー……さ、エレン。頼みたいことがあるんだけど…」
「…何です」
勢いは収まったものの、棘はまだ痛い。フィンは頬を掻いて棘のある言葉に思わず苦笑した。