問題アリ(オカルトファンタジー)
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夜になってもどこかにラルフがいるのではないかというある種の強迫観念を抱いていたエドガーは精神を病み、エドガーの母親は焚き火を行なった数日後エドガーを車に乗せて病院へと向かった。
大きな総合病院は診察までに一時間は掛かる。
母親はその間に買い物を済ませようと、夜中よりは落ち着いているエドガーを置いて車に乗り込むと近くのスーパーへと車を走らせた。
工場の多い、静かなこの辺一帯は車の量こそ少ないものの、通る車は自家用車かトラックだ。
トラックに挟まれながら今日の夕飯は何にしようかと首をかしげ冷蔵庫の中身を思い出す。
グリーンピースと人参と玉ねぎがあったはずだ。ピラフにでもしようか。
考えていたときに、ふと視線を感じてバックミラーを見上げた。
助手席にはティッシュなどが箱ごと置かれていたが、それ以外には何もなく、がらんとしていた。
特に問題の見当たらない、誰も乗っていない、後部座席。それが、違和感だった。
確実に何かもう一人の気配を感じる気がしていた。少なくとも、何かが何もないはずの空間を乱しているような気がしてならなかったのである。
だがしかし何もないものを気にしているわけにもいかない。
今は運転中で、目の前を見ていなければいけないのだから。
目の前の大型の平ボディー車は規則正しく交通ルールを守って進んでいく。無蓋の開放状態となっている荷台には特に何も乗せられておらず、荷物を留めるための黒いゴムがひらひらと荷台の隙間からはみ出しては揺れていた。