問題アリ(オカルトファンタジー)
それを確認するためにフィンはこの辺境の地へとやってきていたのである。ラルフを抱えて。
フィンに問われたヴァイルーンは過呼吸になったのではないかと疑うほどに浅く荒い呼吸を繰り返し目に見えてわかるほどに震えていた。
それもそうだ。
フィンは今、不愉快の絶頂にいるのだから。
目が赤に変わり氷のように冷たく、ガラスのように鋭い。傍に立っているエレンはその表情を見ずともフィンの近くだけ薄ら寒いことでそうなっているとわかる。
「に、…人間の、器が…なくて……は、はやく、生き返り……たいと、に、人形でも、いいと…いうので…いけないと、わかって……いながら、……そ、その……ラルフ、の、人形…が、で…で…出回って……いたので、それ、に………も、申し訳御座いません!!どうか、どうかお助けくださいませ!!」
途端に緊張の糸が切れたようにその場に崩れ落ちて額を床にこすり付けて詫びるヴァイルーンにフィンは不愉快そうな顔のまま視線を向けていた。
聞けるならばラルフに一通り聞いてしまえばいいのだが、転生されると記憶がなくなるので、転生されるときの事を覚えていないのである。
面倒くさそうな、フィンの溜息。
「いいからもう黙れ、うるさい」
ヒッ、と息を呑む音が聞こえて、それきりヴァイルーンは静かになった。
地面に顔を押し付けて必死に、嗚咽をこらえていた。
悪魔の長が発言の許可を得るように片手を挙げる。フィンはそちらに目を向けて一つ頷いて返した。