問題アリ(オカルトファンタジー)
「まだ何か御用なのでしょう、ラルフを連れてきたということは……何で御座いましょうか」
「シュガークラッツに住むエドガーっていう今年二十歳の、最近母親を交通事故で亡くした男が八年後、結婚して子供をつくる。その子供に、この魂を入れてやってほしい。そうしてくれたらこの事は黙っててやる」
言いながら金目に戻ったフィンは真っ黒に焼け焦げたラルフをヴァイルーンに見せる。
「失敗したらお前消すぞ」
そんな言葉をヴァイルーンの目をまっすぐと見つめサラリと付け足しながら。
そして、ラルフの魂を人形から引き剥がすべく手を翳して、暫く。
黒いその塊から、白く浮かび上がるまあるい柔らかい光。
魂。
それが出た瞬間、ラルフの記憶が全て蘇り、魂が「あぁ…!」と感動の声を上げた。
「フィン…!フィンだ…思い出したよ、僕の初めての親友…!!久しぶりだ、何年ぶりだろうか…」
「えーっと……多分八百年くらい、あれ、七百だっけか」
忘れた、と頬を掻きならフィンは漸く自分のことを思い出してくれた友に笑いかけた。
*