問題アリ(オカルトファンタジー)
暖かい木
問題アリ No.4
『暖かい木』
ギィ、ギィ。
少女は庭に埋められた大きめの木に吊り下げられたブランコに座って前後に揺れていた。
スピードは出さずに、小さく小さく、風が吹くままに。
ギィ、ギィ。
どこか遠くを見るように、目の前で繰り広げられている暖かい光の中に包まれている家族を眺めていた。
少女のいる庭の大きな木からはリビングが見えて、今は丁度夕食の時間。幸せそうな一家がテーブルに付いている。
母親が穏やかな笑顔を浮かべて、子供の皿にスープを注いでいて。
父親がメインディッシュを大袈裟に持ってきては子供たちの歓声を浴びている。
子供たちは兄と妹なのだろう、五歳ほどの少年と、三歳ほどの少女がいて、どちらも零れんばかりの笑顔を満面に浮かべていた。
ブランコに乗った少女は、その様子をただジッと見ていた。
ふと、母親が、庭へと目を向ける。そして急に、その視線に険が増す。
少女は縮こまってその母親から顔を背けるが、母親はまだ不愉快さをそのままにガラス戸へと歩み寄ると、カーテンを閉めた。
一瞬だけ止まった幸せの時間がまた再開され、暖かな光とともに暖かな湯気と、笑顔と、声と、匂いが庭まで届いた。
シルエットだけでも幸せそうなのがわかる。
『暖かい木』
ギィ、ギィ。
少女は庭に埋められた大きめの木に吊り下げられたブランコに座って前後に揺れていた。
スピードは出さずに、小さく小さく、風が吹くままに。
ギィ、ギィ。
どこか遠くを見るように、目の前で繰り広げられている暖かい光の中に包まれている家族を眺めていた。
少女のいる庭の大きな木からはリビングが見えて、今は丁度夕食の時間。幸せそうな一家がテーブルに付いている。
母親が穏やかな笑顔を浮かべて、子供の皿にスープを注いでいて。
父親がメインディッシュを大袈裟に持ってきては子供たちの歓声を浴びている。
子供たちは兄と妹なのだろう、五歳ほどの少年と、三歳ほどの少女がいて、どちらも零れんばかりの笑顔を満面に浮かべていた。
ブランコに乗った少女は、その様子をただジッと見ていた。
ふと、母親が、庭へと目を向ける。そして急に、その視線に険が増す。
少女は縮こまってその母親から顔を背けるが、母親はまだ不愉快さをそのままにガラス戸へと歩み寄ると、カーテンを閉めた。
一瞬だけ止まった幸せの時間がまた再開され、暖かな光とともに暖かな湯気と、笑顔と、声と、匂いが庭まで届いた。
シルエットだけでも幸せそうなのがわかる。