問題アリ(オカルトファンタジー)



「この子誰?結構身体中についてるけど」



「多分……あれですわ、庭に大きめの木があるお家で。そこの女の子が抱きしめてきたので。あぁ、そう『助けて』って言ってましたわ。何を、とは言いませんでしたけど」



「……助けてあげよっかな。何だかよくわかんないけど」



「ご案内しますわ」



ブラッシングを一通り終わらせると、エレンはフィンの肩に乗っかって、先を促した。


フィンはいい暇つぶしが出来るかもしれないと意気揚々と出かけていった。


そんな生半可なものではないと、知らずに。


教会を出て右へと曲がると、左へ曲がったときと似たような、とりあえず草が踏まれているおかげで何とか通りやすくなっている道が一本伸びていた。


それを辿るとその先からまた獣道に入って、暫く。


誰もこんなところから下りてこないだろうと思うような雑木林の無法地帯から、フィンはまともなコンクリートの道を一メートルほど下に見つけると飛び降りた。


フィンがたどり着いたのは他の家よりも少しだけ大きめの一軒家で、その庭には大きな柿の木が生えていた。


他にもいくつかの木はあったが、どれも小ぶりでその木には劣っていた。


立派な、木だった。



「おーすげーな」



今は実をつけていないとはいえ、秋になればきっと大量の甘い実を作っては重たそうにその枝を揺らしていることだろう。


その季節じゃないことを残念に思いながらもフィンは垣根から眺めると、腰ほどの高さしかない門へと向かい、そこから中の様子を眺める。


エレンはピョンとフィンの肩から降りて庭先へ降り立つと、ニャア、と一声鳴いて見せた。


すると、木の陰から少女が顔を出して先ほど見た猫がまたやってきたと喜んで駆けつけてきた。




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