問題アリ(オカルトファンタジー)
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グレタは、今この家に住んでいる家主の祖母、家主の母親の母親に当たる人物だった。


料理とガーデニングが趣味だったグレタはある日、肥料を運んでいたときに転倒して半身不随になる。


ただでさえあまり裕福な暮らしではなかったのに、四歳の息子(今の家主)の、養育費と合わせて治療費という更なる出費を強いられ、家の中では煙たがられる存在となったのだった。


家の仕事が出来るわけでなし、ただ一日寝て、治りもしないリハビリを続ける。


家族はどんどん冷たくなっていったと言う。


そんな中、唯一彼女に懐いていたのは近所に住むシェリーで、こっそりと家にやってきては自分の祖母に甘えるように本を持ってきて読んでもらったり、遊び相手になってもらっていた。


シェリーは身体が弱くあまり外に遊びにいけないので、唯一遊びにいける場所と言うのが、グレタの所だったのだ。


両親は健在だが、シェリーの病気を治そうと朝から晩まで働きづめて、居ないことが多いのである。


互いに重い病を抱えると言う共通点が出来てから一層に仲がよくなった二人だったが、グレタの家族はシェリーの存在もあまりいいものとは思っては居なかった。


原因不明の体力低下、筋力の衰えを見せると言うシェリーの病気が、感染病かもしれないと疑っていたのである。


グレタに一番辛く当たったのは実の娘であるメイベルだった。


ネズミでも見るような目で睨み付けてその身体を触らなければならないときはビニール手袋とマスクをつけて、出来るだけ直に触らないようにしていた。


夜、トイレへと起きると台所では「よく食べるネズミが邪魔だ」という愚痴が耳に入り、心を痛めたという。


そして、グレタはこれ以上迷惑にならないようにと、家族が一日家を開けた日に、まだ半身が動く内にと庭の木にロープを括り付けて自殺したのだと言う。




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