問題アリ(オカルトファンタジー)
*




とはいえ、この家に家族を留めたままあの木を切らないように心変わりさせるのはそれなりに難しいことである。


脅かすだけなら大得意のフィンだが、脅かして家族がいなくなったら元も子もない。


自信満々に言い切ったが、少し頭を使わなければ助けるどころか、最悪の事態を招きかねなかった。



「安請け合い、と言う言葉を知らずに死んだのですか?フィン様」



「うるさいなー、今ちゃんと考えてるだろ」



「計画性、と言う言葉を……」



「うるさーい!」



ジタバタと両手両足をバタつかせて言うとフィンは寝転がった。


今は例の木がある家の屋根の上で作戦を練っている所だ。


シェリーは相変わらずブランコに座って風が揺らすほんの少しだけの揺れを堪能している。


その傍で、グレタが微笑みながら、テーブルに付いて母親から出される甘い香りが立ち込めるパンケーキを、幸せそうに口に放り込んでいる子供たちを見ていた。


どこか、切り取られたかのような寂しさをも感じさせる木の傍の二人。



「あの木を見えないようにしたら、きっとその上に家を作るよなぁ。記憶を消しても、また然り。やっぱり切りそうになったら切れない何かが起こる、とかそんなやつの方が効果はありそうだけど、加減しねぇと家出すんだろーな。あー、面倒くせぇ」



「やるって言ったんですから、頑張って下さいませ」



「わかってるよ。あー加減ってわかんねぇー、いっそ全員ぶち殺して仲良くホラーハウス作っちまえばいいじゃねぇか」




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