問題アリ(オカルトファンタジー)
極論を挙げるフィンに、エレンは盛大なため息をついた。
ここにグレタとシェリーが居ないので、言葉もいちいち気にしなくて良い分、吐き出しすぎている。
きっとここをホラーハウスにする、なんて結論が出たと知ればあの二人は卒倒して泣いて止めるように懇願するだろう。
珍しく真面目な顔で悩むフィンを、エレンは物珍しそうに眺めていた。
いつもなら、恨みを抱いているような人間しか相手にしなかったと言うのに。
こういう、真面目な霊だとか、善良で苦しんでいる霊は自業自得だと言い捨てるのが常で、フィンは人間に過度の期待を抱く人間が嫌いだった。
裏切られたと聞けば、人間が裏切らないわけがないだろうと。
信じていたのにと聞けば、人間に信じる価値などあるわけないだろうと。
しかし今回は何を言うわけでもなく、力になろうと奮闘している。
何か、あるのだろうか。
「気まぐれかしら」
「エレン、お前も考えろよ」
「ハイハイ」
フィンが考え付いたのは死なない程度に、怪我をしない程度にこの木を切ろうとしたら異変が起こるように、ということだった。
その間に子供たちにこの木を好きになってもらえばいいのでは、という形になった。
とはいえ、言うのは簡単だ。
特に子供たちに木を好きになってもらうなんてのは難しすぎる。
今の子供はテレビゲームなどで遊ぶので、外にはあまり出ない。しかもこの木は登るには幹が長すぎて、ぶら下がっているブランコの紐ももうすぐで千切れそうだし、椅子は雨風に晒されて埃を被っていた。
「あ、いい考えがありますわ」