問題アリ(オカルトファンタジー)
まだ考えれば何かが出てくるかもしれない。何か、いい案が。
それでも、それを考える時間の一分一秒が愛情に飢える子供たちには酷く長い時間に代わるのだ。
パリン、と何かが割れる音が聞こえて、子供たちが泣きじゃくる声が聞こえてくる。その泣き声にまたイライラして辛く当たる。
強い風が吹いて、葉を、枝を、木を、揺らす。
「嵐だね」
グレタは暗く重たい雲に覆われた空を見つめて、笑っていた。
「アンタ、何でそうやって笑ってられるんだよ。何で諦めつくんだよ。イラつかねぇのかよ、子供助けてやったってのに呪いの所為で転んだとか言われてんだぞ!?アンタの所為じゃねぇのに、悪者扱いされてんだぞ!?子供からも離されて、あの女が適当なこと言いやがるから!」
「今はヒステリックになってるけどあの人は、ちゃんと子供のことを愛してるんだよ。嬉しいじゃないか。自分の孫を愛してくれた人が、ちゃんとその子供も愛してくれてるんだ。…なのにあたしが怖がらせて愛してあげる余裕を奪っちゃったんだよ?仕方ないさ。フィン君も見ただろう?おいしそうなパンケーキ作ってくれてるあの人と、ジャムをたっぷりつけて頬張ってる子供たちの笑顔」
「いいのかよ、あんた。消えるんだぞ?記憶も全部ぶっ飛ぶんだぞ!?」
グレタは一つ頷いた。
シェリーがグレタの傍に寄り添って手をぎゅっと握り締める。
その手を握り返しながら、グレタはシェリーの頭を優しく撫でながら、いいんだよ、と優しく返した。
意味がわからない、とフィン。
「アンタの願いだったんだろ、そのために何十年もここにいるんじゃねぇのかよ!簡単に折れてんじゃ……」
「願いはね、いくらでも変化するんだよ。フィン君、私の願いはね、フィン君の言うとおり皆を見守ること。だけどね、こんな荒れた家庭を見守っていたいわけじゃないんだよ。幸せな家庭を見守って居たかったんだ。だからね、私の願いはこの家庭が幸せであることが前提なんだよ、幸せでいて欲しいんだよ」
「なら、自分が消えても良いって言うのかよ…」
グッと、力を込めた拳が、震える。
爪が手の平に突き刺さって、爪あとを残している。