問題アリ(オカルトファンタジー)
…あの日って、何だ?
グレタはフィンを抱き寄せて、その背丈は小さかったはずなのに、頭一つほど違うフィンを抱きしめてあげた。
シェリーもフィンとグレタの足を抱きしめるように、腕を回してギューッと抱きついた。
「ありがとうね、フィン君に出会えてよかった」
「なんでだよ、俺、全然利用価値ねぇじゃねぇかよ」
「それはね、利用価値なんて望んでいないからだよ」
シェリーも!と足元から声が聞こえてきて、グレタの手がシェリーの頭を撫でる。
グレタの手が離れて、シェリーも手を離し、柿の木の下に二人が並ぶ。もう、決心が付いたと言う強い目で、フィンを見つめていた。
空が光り、轟音と共に稲妻が空に分け目を作る。
フィンは一・二歩後退って、逃げるように門を飛び越えて出て行った。
「フィン様!」
エレンはその背を追いかけるように出て行く。
そんな二人を、フィンの背中をグレタは至極愛しそうな目で見送っていた。
その視線に気づくこともなく、フィンはあの家が見下ろせる丘までたどり着けば、手の平を空に翳した。