問題アリ(オカルトファンタジー)
「悩んでいたら、この教会の話を聞いたのです。…そこに居る神様が、助けれくれると」
「助けてはいるけどね」
言いながら、フィンはその顔に一層の笑みを深めて、きっとテレジアのことを何もせず眺めていただろう本物の赤い神を思い出しながら話が終わった彼女へ、仕事をする上で必要な生前の店の住所だとか妹の顔だとか男の顔だとかを聞きながらある程度の情報が揃うと、パタンと手帳を閉じた。
そして、彼女に問いかける。
「君はどうする?」
「え…?」
突然の質問に何の話かわからず、テレジアは首を傾いで、その質問の意図を問いかける。
「俺と一緒に、妹さんの所に行くかい?行かなくても俺は君にちゃんと妹さんの現状は伝えるつもりだけど」
「も…もちろん行きます!あの子が辛い目に遭っているなら男を殺してでも……あの子を守らなきゃ、私はあの子のたった一人の家族だもの」
フィンはそれを聞いて立ち上がると、フィンの部屋からはテレジアと向かって左手、テレジアからはフィンへと向かって右手のドアノブを回し、テレジアの前へと現れた。
その顔が端整な顔立ちであったことにテレジアは少し驚き、少し恥ずかしそうに、車にひき殺された時と全く同じのボロボロの服の布をかき集めた。
「じゃあ、一緒に行こう。明日もう一回ここへ来て。それまでに調べておくから」
「え、そんなに早く?……そんなことが出来るのですか?」
「神だからね」
にっこりと笑いながらフィンは断言した。
神の前に大切な一文字を入れる事無く。
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