問題アリ(オカルトファンタジー)
ガタガタと身体中が震える。
恐怖なのか、吐き気なのか、不甲斐無さなのか、悔しさなのか、悲しみなのか、極度の疲労なのか、寒さなのか、もうわからなかった。
ただ、頬を落ちる雨の中にいくつも熱を持った雫が伝っているのだけがわかる。
「嘘でしょう…?」
猫の姿ではたどり着けず、人型になって追いかけてきたエレンは、驚愕の目でフィンを見ていた。
フィンが手の平を向けた先の空は稲妻を作り、小さな音を鳴らしながらチカチカと不穏な光をちらつかせている。
その光の真下は。
あの木だ。
「……落ちやがれぇッ!!!」
怒声にも似たフィンの声と共に、雲に隠れて膨張をし続けた不穏な光は一瞬の閃光となり、爆音とも取れる激しい音を鳴らしながら目が潰れるのではないかと思うほどの光が町全体を覆って。
瞼の裏の赤が通り過ぎたのを感じてから、エレンはフィンへと駆け寄った。
「フィン様!!」
その手を掴んで此方へ身体を向かせようと引いたエレンの力は、抵抗の一つもないその身体にはきつく、フィンは軽くふらついてその場に座り込んだ。
手を離してしまえばその場に倒れこむのではないかと思うほどにフィンの身体には力はなく、エレンは言葉を全て飲み込んでフィンの腕を肩に掛けて身体を支えると教会へと走って帰った。
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