月読の姫宮
母君は、先帝である白虎院の妹宮で、内親王として太政大臣の側室となった方。
父君は今をときめく天下の人、太政大臣。
他の側室の姫とは比べ物にならないくらい、大切に大切に育てられた。
そんな姫の伯父にあたる白虎院は、姪姫をそれはそれは可愛がって、たった一人の姫宮よりも大切に想われた。
それには理由があった。
実は白虎院と内親王は、実の兄妹ながらに愛し合ってしまい、子を授かってしまったのだ。
それが太政大臣の姫として生まれた、五の君である月読の姫。
二人は焦った。
しかし、周囲は誰しもが太政大臣の姫と、疑わなかったので、二人は黙っていた。
そして、先帝と内親王は、この姫を通してお互いを愛した。
もちろん、姫も愛された。
真実の愛によって生まれた姫を、誰しもが愛した。