僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
◆side:彗
「……祠稀、出かけるの?」
凪が「疲れたから寝る」と言ってから暫くして、祠稀が私服に着替えてリビングに出てきた。
「ああ、後輩に会ってくるわ」
薄手のジャケットを羽織って笑う祠稀は、テーブルに置いてあった煙草をポケットに突っ込んだ。その様子を見上げていると、有須が口を開く。
「気をつけてね」
「俺は女子か」
「えぇ!? ち、違くて! 夜だしっ」
……ホント、祠稀は有須のことからかうの好きだな。
「んじゃ、ちょっと出てくるわ。帰ってくんの遅くなるから」
そう言ってドアに向かった祠稀の背中を見つめていると、長い髪が靡く。
「凪、あいつ変だから様子見とけよ? 弟くん」
ふざけた感じで言った祠稀に「いってらっしゃい」と告げ、玄関が閉まる音に溜め息が出た。
祠稀が、凪の悩みの種なんだけどね……。