僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ


「祠稀!!」


下駄箱の近くまで来たところで、集まる生徒の中から凪の声が聞こえて我に返る。


彗も立ち止まり、凪の姿を探していた。すぐに見つかる、赤いスパイラルが揺れる後ろ姿。


野次馬の生徒たちをかき分ける凪に、止まっていた足を進めた。けど、隣に立つ彗が歩き出さないことに気付いて、立ち止まる。


「……彗?」


首の後ろを掻いて俯いてしまった彗に、なんて声をかけたらいいのか分からない。


やっぱり怒っているように見えた。


……きっと、いつもなら真っ先に、突っ走る凪を止めに行きそうな彗なのに。


どうしたんだろう。


今こうしてる間にも、凪の祠稀を止める声が聞こえるのに……。


「……彗?」

「……ごめん、行こう」


ポンと背中を叩かれて、彗から少し遅れて再び歩き出す。
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