僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
「いきなり、目が合っただけで殴られたんだよ! 意味分かんねぇよ!」
その答えに、絶句する。
見るからに遊んでそうで、喧嘩だってしたことがあるんだろうなと感じるその生徒の瞳には、恐怖からか、涙が浮かんでいた。
いくら一方的に殴っていたとはいえ、何か理由があるんだと思っていた。理由があるんだと、そう、思いたかった。
その願いすら砕かれた今、あたしに、あたしたちに、何ができると言うの?
「……本当なの? 祠稀……」
嘘でしょう? そう願いにも似た凪の問いかけが、涙腺を緩ませる。
左右を凪と彗に挟まれている祠稀は、首を捻った。
「だから、本当だったら何?」
―――パンッ!
ああ……もう……どうして、こんなことになるの?
口の端を上げた祠稀の頬を凪が引っ叩いて、どうしようもない感情が胸の奥を強く締め上げる。
「いい加減にしなさいよ!」
悲痛にも似た凪の叫びに、気付けばあたしは凪の腕に抱きついていた。