僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ


「今日はもう、部屋に戻ろうか」


リビングにいても仕方ないし。そんな言葉の続きが聞こえた気がした。彗は凪の言葉に何も言わず、ソファーから立ち上がる。


「……じゃあ俺、先に風呂入っていい?」

「あ、じゃあ準備してくるねっ」

「……うん、ありがと」


少し微笑んだ彗に笑いかけて、リビングを出た。


浴槽を洗ってから、お湯を溜める。


……彗って入浴剤使うんだっけ? 一応、出しておこうかな。


脱衣所にある棚から何種類か入浴剤を取り出し、どこに置こうか悩む。


洗面台の横に置いとけば気付くよね。そう思った時、見なれた洗面台がいつもと違うことに気付いた。


「……あれ?」


なんだろう……。気のせい?


4人分の歯ブラシやコップ、洗顔フォーム、ヘアブラシ、凪や祠稀のスタイリング剤……。
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