僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
「――祠稀がいない?」
その声にバッと顔を上げると、チカも俺と凪に視線をよこした。
「なんで……ちゃんと探した? ……けどじゃないよ! 祠稀から目を離すなって言ったじゃん!!」
チカの初めて聞く張り上げた声に、緊張にも似た感覚が体中を縛る。
大きく溜め息をついたチカは、額を手で覆った。
「分かったから、探して。……リーダーの祠稀が捕まったら、何もかも終わる」
チカは電話を切るなり、立ちあがる。
その表情は、焦りか怒りか。どちらか分かりづらいけれど、確かに不安だと言っていた。
「祠稀がいなくなったって。僕、探しに行かなきゃ」
「あたしも探す!」
そう言った凪にチカは悩んでる様子だった。
それを感じた俺は立ち上がり、伝票を持つ。