僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ


――2年前、春。


「何度言えば分かるんだ!」


殴られた衝撃で地面に倒れ込む。その間にも、背中に、横腹に、絶え間なく与えられる、鈍い痛み。


「絶対に1位を獲れと言っただろう!」


ゴッ!と頭を踏みつけられて、俺は乱れた髪の隙間から、憎くて堪らない存在を見上げる。


憎悪に溢れる瞳は、まるで汚いものでも見ているかのように、俺を見下ろしていた。


「聞いてるのか、祠稀!」


ああ、また蹴られる……。


腹を貫通したんじゃないかと思うほど力強く腹部を蹴られ、咳き込んでいると、「恥晒しが」という親父の声。


その言葉に、思わず鼻で笑ってしまった。同時に、殺意さえ感じる瞳で睨まれる。


「何がおかしいんだ、祠稀」


おかしいだろ。たかが学校のテストで、1位を獲れなかっただけで。なんで殴られ、蹴られなきゃいけないんだ。


何が、何に対して、誰にどう、恥晒しなんだ。


世の中? 親父が務める学校の教員? たかが教頭のくせに? できそこないの俺が、恥? おかしいだろ、どう考えたって。


おかしくて、笑えて、たまらない。

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