僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ


「アンタはどれだけ偉いんだ。自分を、何様だと思ってんだ。アンタなんか下種以外のなんでもねぇだろ」


フン、と馬鹿にして言うと、振り上げられた足。


痛い、痛くない、痛い、痛くない。

痛くなんか、ない。


こんなのなんてことない。


「クソッ! このできそこないが! どうして枢稀みたいにできないんだ!」


知らないのか。よく見てみろよ。


お前の後ろで、あたかも自分は完璧だと、誇らしげにこっちを見てるアイツを。


「父さん、そろそろやめないと。傷が目立っちゃいますよ」


止めに入った枢稀に、親父は俺を蹴るのをやめた。体中が熱く、息を整えていると、親父は舌打ちをする。


「枢稀。お前はこうはなるなよ」

「僕と祠稀を一緒にしないでくださいよ」

「ああ、お前には期待してる。おい! 風呂はまだかっ」

「は、入れますっ」


震える母さんに怒鳴りながらリビングを立ち去る親父を枢稀は見送り、床に横たわる俺を見下ろした。
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